モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。


それから、映画を見た私たち。


今流行りのラブコメを見たんだけど、その間も手はぎゅっとつながれたままで……

時折手の甲をなでられたり。

肩が普通にぶつかるくらい距離を詰めたりしてきて、全然集中できず……


「ほら、ちゃんと前見て?」


「っ〜!!」



スクリーンじゃなくて、蒼井を意識してるのが丸わかりの私。


前見てないのは蒼井も一緒でしょ!?


「こんな暗闇で、大きい声も出せなくて……なんだかイケナイコトしてるみたいだな?」


イケナイこととか、そんな卑猥な表現の仕方しないでよ!!


加えてほっぺたをツンツンしてきたり、耳にふっと息をふきかけられたり。


必死に無視を決め込んでも、どうしても反応してしまう素直な体。


「いい加減にしてっ……」


大声を出したいのに出せない。

縮まる距離に離れようとするけれど、周りに人がいるせいで思うように動けない。


だから囁くような声で反論するしかないわけで……


「よく聞こえない。
もう1回、言って?」


なんてニヤリと笑ってますます体をグッと近づけてくるもんだから、蒼井側の体半分は燃えるように熱くて。


「はー、映画館、最高」


「………」


目を細めて満足に笑う蒼井を睨みつけるしかなかったのだ。

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