モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。

映画館を出た後の今は、ブラブラ服を見たり、雑貨屋さんに立ち寄ったりした。


はぁ、疲れた……


隣を歩く蒼井にバレないように、心の中でそっとため息をつく。


歩き疲れたような、足が重いような、体の疲れ……ではなくて、心の疲れ。


でもそれは全く嫌なものではなくて、寧ろ幸せさえ感じられるもの。


スイーツバイキングでも、映画館でも、今この瞬間も。


胸がキュンとするような甘い言葉や、ふとした時に見せる口角の上がった満足げな顔や、優しい眼差し。


片手から感じられる熱いそのぬくもり。


度々見せてくれる、ちょっとした心遣い。


恥ずかしさや、くすぐっさたも、もちろんあるけれど、やっぱりそれ以上に、嬉しさや幸せな気持ちが心を満たしていて。



ふっと心に火が灯る。



ああ、私……


蒼井のことが好きなんだ。


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