モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
記憶を映し出す空
*
「うわぁ、綺麗……」
話がある、そう言った後、蒼井に連れられて来た場所は、駅からは少し離れた高台だった。
「ここ、穴場でさ。誰かに教えたの、莉世が初めてだよ」
「そうなんだ……」
私が、初めて……
柵の下に広がる街並みは、夜へと近づく夕焼けで、赤やオレンジのグラデーションに染まっている。
私の気持ちもまるで、昼から夜へと移り変わる夕焼けみたいだなぁ……
空が青から徐々に色を変えて黒に近づいていくように、いつしか私も蒼井一色になっていた。
嫌いから、好きへ。
クラスメイトから、好きな人へ。
気づけば、頭の中は蒼井のことしか頭になかった。
「それで、話って?」
柵に手を当てて景色を見ていた蒼井がふっとこちらを向く。
────────ドキっ
何を今から私が話すのかを、聞きたいような聞きたくないような、そんな葛藤が蒼井の中で行われているようで。
ゆらゆらと、どこか不安げに揺れる瞳。
「っ……」
それは、私の胸をぎゅうっと押しつぶすように圧力をかける。
今から蒼井に、もっともっとこんな表情をさせてしまうかもしれない。
大好きだからこそ、話さなきゃ。
伝えるって、約束した。
なのに、なのに………
ここまで来て、蒼井に嫌われたくない…そんな気持ちが顔を出して。
口に出したいのに。
言葉にしなきゃいけないのに。
恐怖が、不安が、どうしても打ち勝って。
声が、出てこない………
「莉、世?」
黙ってしまった私を心配するように伸ばされたその手が、頬に触れそうになったその瞬間。
「あははは!」
近くで女の子の声が聞こえた。
「うわぁ、綺麗……」
話がある、そう言った後、蒼井に連れられて来た場所は、駅からは少し離れた高台だった。
「ここ、穴場でさ。誰かに教えたの、莉世が初めてだよ」
「そうなんだ……」
私が、初めて……
柵の下に広がる街並みは、夜へと近づく夕焼けで、赤やオレンジのグラデーションに染まっている。
私の気持ちもまるで、昼から夜へと移り変わる夕焼けみたいだなぁ……
空が青から徐々に色を変えて黒に近づいていくように、いつしか私も蒼井一色になっていた。
嫌いから、好きへ。
クラスメイトから、好きな人へ。
気づけば、頭の中は蒼井のことしか頭になかった。
「それで、話って?」
柵に手を当てて景色を見ていた蒼井がふっとこちらを向く。
────────ドキっ
何を今から私が話すのかを、聞きたいような聞きたくないような、そんな葛藤が蒼井の中で行われているようで。
ゆらゆらと、どこか不安げに揺れる瞳。
「っ……」
それは、私の胸をぎゅうっと押しつぶすように圧力をかける。
今から蒼井に、もっともっとこんな表情をさせてしまうかもしれない。
大好きだからこそ、話さなきゃ。
伝えるって、約束した。
なのに、なのに………
ここまで来て、蒼井に嫌われたくない…そんな気持ちが顔を出して。
口に出したいのに。
言葉にしなきゃいけないのに。
恐怖が、不安が、どうしても打ち勝って。
声が、出てこない………
「莉、世?」
黙ってしまった私を心配するように伸ばされたその手が、頬に触れそうになったその瞬間。
「あははは!」
近くで女の子の声が聞こえた。