モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
引かれる。
離れていく。
また私の目の前で、大好きな人が、大切な人がいなくなる。
消えてしまう。
蒼井に、嫌われる……
そう思った途端、ふっと目の前が暗くなった。
そこは暗闇。
視線の先にある光…まるで、雨雲から街に差し込む太陽のように明るい蒼井に手を伸ばす私。
もう少しで手が届く先に蒼井はいるのに、何度もがいても、あがいても、決して蒼井には届かない。
寧ろ、もがけばもがくほど、深くて底のない暗闇に飲み込まれていく。
蒼井の背中が、明るい光が、離れていく。
いやっ……
いや、いや!!
行かないでっ………
置いていかないでっ……
大好きな人を、もう私から奪わないでっ……!!
必死になって手を伸ばすけれど、その光はだんだん見えなくなって。
次第に目の前が濁り、視界が真っ黒に染まっていく。
苦しい。
苦しい、苦しい、苦しい!!
何も、見えない……
何も聞こえない……
息が、でき、ないっ……
助けてっ……
助けて……
あお、い……っ
強く意識が薄れゆく中で必死に蒼井の名前を呼んだ瞬間。
「莉世っ!!」
ガっと何か力強いものに腕を引き上げられたような感覚に襲われ、ふっと目を開けると、辺りは夕焼けに染まる芝生が広がっていて。
「だ、大丈夫か?
顔、真っ青だけど……」
「っ……」
目の前には私の両頬を包む、蒼井の焦った顔が視界いっぱいを埋めつくしていた。