モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
夢を、見ていた。
蒼井に嫌われて、離れていく夢。
私の前からいなくなって、去っていく夢。
それは全部、蒼井に過去のことを話した後で……
それが分かった瞬間、涙が流れた。
「莉世っ!!」
腕をグンッと強く引かれ、気づいた時にはあたたかい、大好きな人の腕の中にいた。
「莉世、落ち着け」
「はぁ、はぁっ……」
「大丈夫、大丈夫。
ゆっくり、ゆっくり…そう。
吸って、はいて……」
ポロポロと零れ落ちる涙と、うまく息ができない私をあやすように、ポンポンと背中を叩いてくれる蒼井。
「大丈夫、大丈夫。
俺は、いる。今ちゃんと、莉世の目の前に、俺はいるから」
何度も何度もそう呟いて、強く、強く抱きしめられた。
「あお、いっ……」
「うん」
「蒼、井っ……」
「うん」
ちゃんと目の前には蒼井がいることを確かめたくて震える声で何度も呼んで、その背中に手を回す。
お日様のようにあたたかいぬくもりや、甘い香り。
そして、私を呼ぶ声。
その蒼井の全てを感じ取りたくて、私は涙が止まらないのも気にせずに、もう一度ぎゅっと蒼井の服を握りしめた。