モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
──────────


「和栗!!
莉世の様子は?」


「大丈夫。
今は落ち着いて寝てる」


「そっか……」


あの後、傘を差してたとはいえ、結構濡れてしまった俺と莉世。

俺はいいにしても、さすがに莉世を着替えさせるわけにはいかないってことで、和栗を呼び、俺もタオルを借りた。


「蒼井くん」


「ん?」


「見たんだよね?」


「ああ」


その問いが何を言わんとしているのかすぐに分かった。


確かに、驚いた。


ふっと意識がなくなったと思ったら、急にあんなことになったのには。


でも………


「和栗」


「なに?」



「俺は莉世のことが好き」


そう言うと、和栗は一瞬驚いたように目を見開いたけれど、またすぐ、真剣な目で俺を見た。


「この気持ちは、誰にも負けない」


「うん。
蒼井くん、莉世のこと…よろしくお願いします」


そして一度強く頷いた後、和栗はいつもの明るい笑みを浮かべてくれた。


「じゃあ、私と天野くんはお先に失礼するよ。
ほら天野くん、帰るよ」

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