モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
ガッシャ──────ン!!!!!
耳をつんざくようなガラスの割れる音や、何かが潰されような音。
そして、雨で大きな水たまりを作る道路の真ん中に流れる、赤いもの。
「莉香っ!!!!」
横たわるその人物に急いで駆け寄る。
「莉香っ!!!
莉香っ!!!
莉香っ!!!!!」
何度も何度も声が枯れるくらい叫んで、叫んで、叫んで名前を呼んで。
だけど、莉香の体は私が抱き起こしても、力が抜けたように腕も足も、だらりと下がる。
「莉香っ!!!
莉香っ!!!
莉香………っ!!」
固く閉じられた瞳。
段々と色を失っていく顔色。
そして動かない体。
雨が降っていることなんか気にならなかった。
道路の真ん中であることもその時の私は忘れていた。
雨が髪を伝って、頬を濡らしていくように、私の頬も気づけば涙で濡れていた。
「莉香………っ!!
お願いっ……、目を覚まして……!!!」
声が、身体中が震えていた。
「行かないで…………っ
私を置いていかないで……っ!!
ねえ、目を開けてよ莉香……?
またいつもみたいに、太陽みたいに笑ってよ……っ」
何度呼びかけても、何度名前を呼んでもその瞳が開けられることはなくて。
「莉香っ!!!
莉香っ!!!
り、か………っ」
「いやあぁぁぁぁー!!!!!!」
そして私は意識を失った。