モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
それから私の体に異変が起き始めた。
「それが……二重、人格?」
「そう」
蒼井の問いかけに私は頷いた。
莉香を失ったことによる、大きな精神的なストレス。
私が莉香を殺した。
まだ中学生だった私にその負担は大きすぎて。
そして病院で診断された結果が、
解離性同一性障害。
二重人格として、莉香の人格が私の体に現れた。
この症状が出るのは、主に5月〜7月の雨の日限定。
あの日も急に雨が降ってきたから、今日みたいな帰り道に雨に当たったりすると、現れる。
「でも冬は?
冬は、いつも雨が降ったりして、天気が悪いよな?」
「うん。
でも冬は、そもそも晴れの日がほとんどないでしょ?
私の場合、1日雨っていうよりは、急に雨が降った時になるから、1日中天気が悪い日はほとんどならないの。それに、あの日は6月だったから」
「そっか……」
毎年この時期になると、いつも思い出すんだ。
私が莉香を殺してしまったことを。
「そっか。だから、雨が降ってる日は休んでたりしてたのか」
「うん。そう」
球技大会の前日と、その前の2日間私は休んでいた。
1日雨だったけど、この時期っていうこともあって念の為、学校を休んでいた。
学校で人格が変わってしまったりしたら、驚かれてしまうから。
だから毎年、この時期の雨の日は、学校を休むようにしているんだ。