モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
一緒に泣いてくれて、私の病気のことを知った時も、変わらず接してくれた。
「今の私があるのは歩優のおかげって言っても過言じゃないくらい」
それくらい、歩優は私の心の支えだった。
歩優は前に、自分は今もあの時も何もできなかったって言っていたけど、それは違う。
つらい時、苦しい時。
もう死にたいと思った時。
歩優がどれだけ自分の支えになったか。
どれだけ自分を救ってくれたか。
感謝の思いは、言葉なんかじゃ伝えきれないくらい、とても大きい。
でもそんな中、伊吹だけは違った。
「天野?」
「そう」
伊吹は莉香を失った悲しみで、まるで別人のように変わってしまった。
莉香と同じように、いつも笑っていた伊吹は一切笑わなくなって、いつも虚ろな目で、何事にも無関心のようになってしまって。
ついには私に付き纏うようになった。
「付き纏う?」
「そう。私に莉香の人格が現れるって知ったから」
「それって……」
「そう。伊吹は、亡くなった莉香の身代わりとして、私を見るようになった」