モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
私の場合、その症状が出るのは5月~7月の雨の日。そして、心を許した人にしか現れない。
「どういうこと?」
「蒼井なら十分分かってると思うけど、私元々そんな話す方じゃないでしょ?」
「まあ、確かに……」
元々莉香とは違って、狭く深くの友達付き合いをしていた私は完全に心を許していた人が、同級生には歩優と伊吹しかいなかった。
「それで、天野に知られてしまったってわけか……」
私は頷いた。
まだ伊吹にその話をしてなかった頃、たまたま莉香の人格の姿を見られてしまった。
それから、雨が降りそうな時や、この時期は私に近づいてきては、莉香の人格を引き出そうとする。
「じゃあ、莉世が天野にあんなに怯えていたのって……」
「そう。伊吹は私が莉香の人格になって、短い時間でも一緒に過ごすタイミングを伺っているから」
「アイツ………」
蒼井は苦い顔をして拳を作っているけど、でもそれは仕方がないことだと私は思っている。