モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
私が伊吹の大事な人を奪ってしまった。
幸せな日々を、恋人という家族とは違う、また違った幸せの時間を……私は奪ってしまったから。
「でもだからって、身代わりにするなんて真似……莉世は莉世、莉香ちゃんは莉香ちゃんだろ……」
蒼井は怒りで顔を歪める。
うん、分かってる。
苦しんでいるのは、私だけじゃない。
あの日あの瞬間。
違う意味での大事な人を失ったことは、私も伊吹も同じだから。
「蒼井」
「ん?」
隣に座る蒼井をまっすぐ見つめた。
「過去のこと、伊吹のこと、ずっと蒼井に話そうと思ってたのに、私の覚悟が足らなかったせいで、話すのが遅くなって本当にごめん」
「莉………」
何かを言いかけた蒼井を押さえて、私は続けた。
「私……、蒼井のことが好きだよ」