モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
今日もチャイムギリギリで教室に入ったけれど、相変わらず蒼井の周りは女子ばかり。
もう先生が来るってのに、すごい人気っぷり……
蒼井は見向きもしないで机に突っ伏しているけど、なに、考えてるんだろう……
教室でも廊下でも、絶対に話しかけられないようにと、蒼井を避けまくっている私。
蒼井が何かを私に言おうと、伝えようとしているのは分かってる。
それが良いことなのか、悪いことなのかは分からないけど……
あんな言い逃げみたいな告白をして、私から一方的に突き放したくせに、今だって、離れた席から蒼井を見てしまう。
どうしても、気になってしまう。
だけど、常に周りにたくさん人がいて、明るい世界にいる蒼井は、クラスの太陽のような存在。
「莉世……、ほんとにいいの?」
本人にバレないよう、何度も視線を送る私に歩優は聞いてきた。
「うん。
いいの」
これでいいんだ。
蒼井は、私がどんな過去を持っていても、離れないと言ってくれた。
好きだと言ってくれた。
だけど、離れてみてやっぱり改めて実感した。
あんなにまぶしい人が、私みたいにジメジメとした暗い世界にいる人間と一緒にいちゃいけないって。
そんな資格はないって。
それは1番、自分が分かっていることだから。
最後にもう1回だけ。
そう思ってチラッと視線を送ると。
「っ!!」
バチッと目が合ってしまった。