モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
「な、なんで蒼井が、ここにっ……」
私の家にいるの……?
唖然したまま突っ立っていると、奥からお母さんが出てきた。
「おかえり、莉世」
もしかして……
「お母さん。
今日早く帰ってきてって言ったのって……」
「ええ。
蒼井くんが、どうしても莉世に話したいことがあるって」
「っ!!」
その言葉に、思わず息が止まった気がした。
「なんで………」
「莉世?」
ぎゅっと唇を噛み締め俯く私に、蒼井は心配そうに近づいてきた。
「来ないで」
ピシャリと言い放つ私に、蒼井の足が止まった。
「私、前に言ったよね?
ごめんって。蒼井とは付き合えないって。
なのに、どうしてわざわざ家まで来たの?
どうしてお母さんは、蒼井のことを家に上げたの?」
止まらなかった。
必死に押さえ込もうとしていたはずの気持ちが、またぶり返してきそうになったから。
ただでさえ、私が避けているのを分かってるはずなのに、ここまで来るなんて。
期待、しちゃうんだよ……
こんな勝手な私のことを、まだ好きでいてくれてるのかなって。
伝えてくれたまっすぐなその思いは、まだ消えてないのかなって。
期待、しちゃうんだよ……
「莉………」
だから私は、敢えて突き放すようなことを言う。
「私は蒼井と話すことなんてない。
姿も見たくないし、目も合わせたくない。
蒼井のことなんか、もう好きじゃな………」
「──────いい加減にしなさい、莉世」