モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
「で、でもなんでっ……?」
信じられないその真実に、身体中が震える。
なんで……っ
なんで、莉香が自殺なんて……
いつもあんなに明るい笑顔で笑って、悩みなんかひとつもないって言っていた莉香が。
伊吹の隣でも、私や歩優といる時も、いつも元気に笑っていた莉香が、どうして……
自殺する動機が、莉香には見当たらない。
「病気、だったんだって」
「え………」
その答えは、蒼井が教えてくれた。
「莉世。莉香ちゃんは、亡くなる前日に、どこへ行ってたか覚えてる?」
「どこって……、あ……」
思い出して、ハッとする。
そうだ……
確かあの日は……
「そう。
病院だった」
「で、でも……っ、莉香は早めの夏風邪だって、大きな異常はないから心配することないって言って……」
慌てて弁解しようとする私に、蒼井はゆっくり首を振った。
「夏風邪なんかじゃない。
莉香ちゃんが診断されたのは、脳腫瘍だった」
「脳、腫瘍……」
何度かテレビで見たり、耳にしたことがある名前。
「しかも、莉香ちゃんの場合、発見が遅かったのと、まだ若いってこともあって、進行が早かった。病院に行った時には、もう手遅れだと。余命宣告を受けたんだ」
手遅れ。
余命、宣告………
明かされていくその真実が、嘘だと言いたくなるくらい、聞いていてつらいものばかりだった。