モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
「こ、これ……どこ、に?」
手紙を持ったまま、心臓がドクドクと音を立てる中、震える声で蒼井に聞いた。
「莉香ちゃんの部屋にあった、宝箱みたいな箱の中に」
宝箱みたいな箱……
あ、思い出した……
宝箱のような見た目をしていたから、お互いの大切な物を入れようって莉香と決めて、2人で使っていたその箱は。
あの日からずっと、莉香の部屋へ行くことはほとんどなくなっていたから、今の今まで、この箱の存在をすっかり忘れてた……
いや、忘れてたんじゃない。
忘れようと、してたのかもしれない。
きっと、楽しかった日々を思い出せば、莉香に会いたくてたまらなくなってしまう……そんな思いから、無意識に、宝箱を遠ざけてたのかもしれない。
「で、でもどうして、これを蒼井が……?」
「昨日、莉代さんから莉香ちゃんが自殺だったって聞いて、もしかしたら莉世宛てに、何か残しているものがあるかもしれないと思って。で、探してみたら、その手紙が出てきた」
「そう、だったんだ……」
きっと蒼井が見つけてくれなかったら、永遠に私はこの手紙に気づくことはできなかった。
莉香が、最後に私に残した言葉や思いに気づかないまま、今よりももっと、莉香の部屋から遠ざかることになったかもしれない。