モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
「その手紙、莉代さんは読んだよ」
「お母さんが?」
「うん。俺もその時傍にいたけど……泣きながら、何度も莉香ちゃんの名前を呼んでたよ」
「そっ、か……」
お母さん……
そっと莉香の書いた文字を指でなぞると、蒼井はふっと笑った。
「でもさ、読み終わった後の莉代さん。
なんか、吹っ切れたような顔してた」
「吹っ切れたような顔……?」
「うん。
清々しいような、気持ちが晴れ渡ったような。
心の底から笑ったような、そんな感じ」
「……蒼井のくせに、一丁前にポエムみたいなこと言うんだね」
さっきのお返しだ!
そう言わんばかりに、ふんっと言うけど、蒼井はニヤニヤ笑うだけ。
「ポエムって……
まあ、それは褒め言葉として受け取っとく」
「勝手にすれば……」
このやり取り…久しぶりだ……
ふいっと視線を逸らしたけれど、内心とても嬉しくて。
心地いいな……そう思う自分がいた。
「俺もまだ読んでないから。
一緒に読もう」
「うん」
おそるおそる封筒から便箋を取り出し、ゆっくりと開いた。