モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
「っ…、り…かっ……」
震える手で、ぎゅっとそれを握りしめて、ぽたぽたと染みを作っていく涙も気にせずに、今までのことを思い出した。
やっぱり、莉香は莉香だった。
最後まで私のことを思って、自分がいなくなった後の私の様子まで見抜いていた。
なのに私は、いつまでも暗い殻に、世界に1人閉じこもって、逃げて、目を背けて。
苦しかったのは、誰よりもつらかったのは、莉香だったのに。
誰よりも泣いたのは莉香だったのに。
なのに私は、莉香の…最後に残したその思いに気づかないまま、ただ過去を引きずって、なんとなくの日々を過ごしていた。
何やってたんだろう、私……
莉香でさえ、最後まで明るい気持ちでいたのに、私はずっと自責の念ばかりで、前を向く努力をしようともしなかった。
その大きな壁を乗り越えようと、立ち向かう勇気さえ出そうともせず、覚悟さえ決めることができなかった。