モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。

太陽の光が辺りを照らす中、空には大きな虹ができていた。

「すごい、すごいっ!!
虹だよ、蒼井っ!!」


見れたことが嬉しくて、思わず蒼井の腕を叩いてハッとする。


や、やってしまった……!!


虹ではしゃぐなんて、キャラじゃないのに。



ほら、蒼井もなんだよコイツ……って目で、こっち見てるし。



「え、えーと……なに?」


「いや。
あまりに可愛く笑うもんだから、つい」


「え……?」



予想外の驚いていると、グイッと腕を引き寄せられた。


「ちょっ、蒼井っ!!
こ、ここ……外だって!!」


「大丈夫。
誰も見てねーから」


そういう問題じゃないってば!!


恥ずかしくて、なんとか離れようとするけど、ますますその腕の力は強くなるばかり。


「なあ、莉世。
No Rain No Rainbowってことわざ知ってるか?」


「え、なに急に?」



私を抱きしめたまま、謎の英語を呟く蒼井に、私は少し意地悪をしてみる。



「頭でも打った?
英語なんか言い出すから、何かと思った」



そう言うと、蒼井はやれやれと、ため息をついた。



「お前なぁ……」


「で、意味は?」



口ではそう言ったけど、本当はその意味が気になって仕方がない私。

心地の いい香りやぬくもりの中で、内心ワクワクしながら聞いてみる。



「雨が降らなければ、虹はできない」


「?」



「つまり、つらいことや、苦しいことがあっても、それを乗り越えればいいことが待っているってこと」



蒼井はゆっくりと体を離すと、じっと見つめてきた。


「だからさ、莉香ちゃんのことがあったけど、そのおかげで、俺は莉世に出会うことができた」


< 310 / 318 >

この作品をシェア

pagetop