モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
太陽の光が辺りを照らす中、空には大きな虹ができていた。
「すごい、すごいっ!!
虹だよ、蒼井っ!!」
見れたことが嬉しくて、思わず蒼井の腕を叩いてハッとする。
や、やってしまった……!!
虹ではしゃぐなんて、キャラじゃないのに。
ほら、蒼井もなんだよコイツ……って目で、こっち見てるし。
「え、えーと……なに?」
「いや。
あまりに可愛く笑うもんだから、つい」
「え……?」
予想外の驚いていると、グイッと腕を引き寄せられた。
「ちょっ、蒼井っ!!
こ、ここ……外だって!!」
「大丈夫。
誰も見てねーから」
そういう問題じゃないってば!!
恥ずかしくて、なんとか離れようとするけど、ますますその腕の力は強くなるばかり。
「なあ、莉世。
No Rain No Rainbowってことわざ知ってるか?」
「え、なに急に?」
私を抱きしめたまま、謎の英語を呟く蒼井に、私は少し意地悪をしてみる。
「頭でも打った?
英語なんか言い出すから、何かと思った」
そう言うと、蒼井はやれやれと、ため息をついた。
「お前なぁ……」
「で、意味は?」
口ではそう言ったけど、本当はその意味が気になって仕方がない私。
心地の いい香りやぬくもりの中で、内心ワクワクしながら聞いてみる。
「雨が降らなければ、虹はできない」
「?」
「つまり、つらいことや、苦しいことがあっても、それを乗り越えればいいことが待っているってこと」
蒼井はゆっくりと体を離すと、じっと見つめてきた。
「だからさ、莉香ちゃんのことがあったけど、そのおかげで、俺は莉世に出会うことができた」