モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。

それから立ち尽くしたまま、莉世を見ていた時。


──── 一瞬。

ガクンっ!!


「!?」


莉世がもの凄い勢いで下を向いた。


な、なんだ…今の?


泣きすぎか何かで過呼吸にでも……



「っ……!!」



────────ガラッ!!!



そう思ったら、急いでドアを開けていた。


「っ……、あ…」


あまりに大きい音をたてて開けた俺に、莉世は目を見開いて驚いていた。


その顔はまだ泣いた後のままで、長いまつ毛も白い頬も濡れていたけれど、特に体調が悪いわけではなさそうで。


「良かった……」


「え……?」


「あ、い、いや!
なんでもない……」


はぁ……と大袈裟にため息をついた俺に怪訝な顔をしたかと思うと、走って教室を出ていった。


「今見たこと、全部忘れて」



俺には背を向けて言った言葉だったけど、


その声はとても小さく、震えていた。

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