モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。

あの時、どうして良かった、なんて思ったのかは分からない。


ただ君の泣いている姿があまりに苦しそうで、つらそうで。


その姿を見た時、胸がドクンと音をたてて、


─────守ってやりたい。


そう、思えた。


君が泣き続けている時、俺は見ていることしかできなかった。


その後ろ姿があまりに小さくて、抱きしめたら今にも壊れそうで。


俺は、何もできなかった。


もっと近い距離にいたら、当たり前のように傍にいれたかもしれない。

隣にいることだってできたかもしれない。


どうしてそんな苦しそうにしているのか、その理由は分からないけど、



少なくとも、あの日。


俺が莉世を見ていたあの時間だけは。



隣に、ただ黙って傍にいてやれることだってできたはずだった。