モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
これじゃ、埒が明かない……
スタスタと歩き出す私に、ちゃっかり隣を歩いてくる蒼井。
その身長じゃ、追いつくのも余裕ってわけね。
ほんと、ムカつく……
再度睨むけれど、ますます楽しそうに目を細めて笑う蒼井は、
「その可愛すぎる表情、俺にしか見せんなよ?」
「っ!?」
耳元で低く囁かれて、思わずビクッと肩が上がってしまった。
さ、最悪っ!!
また反応してしまった……
「し、知らない!!
さっきから、何言ってるの!?」
「んー、莉世の希望通り、甘い言葉を言ってみようかと」
あっけらかんとして、当たり前のように発言する蒼井に、イライラゲージが上がっていく。
さっきから完全に面白がられてる気がするんだけど……
それに、いつ私が希望したって?
そんな配慮、1ミリ足りともいらないから!!
てか、不要!!
「あー、今のビクッとした反応も可愛いなぁ……ね、もっとドキッとさせてあげようか?」
「ドキッとなんかしてないし、そんなの1つも求めてないんで」
ビシッと言い放ち、ふんっと勢いよく顔を背けたのに、
「耳、真っ赤……ほんと、可愛い。
ねぇ、もう1回ハグしてもいい?」
なんて後ろで言ってたから、今度は完全に無視してやった。