俺様王子が恋をした
やっと見る事が出来た先輩の顔は
辛そうな、苦しそうな、怒っているような、
色んな感情が混ざった表情だった。

「先輩、ごめんなさ・・」「このバカ!!」

謝罪の言葉はバカという先輩の
大きな声によってかき消された。

「ごめんなさい・・・。」

今度は最後まで言う事が出来た。
謝って済む問題じゃない事は分かってたけど
謝る以外思い浮かばなかった。

気付けば頬を涙が伝っていた。

一体今日はどれだけ泣けばいいのだろう。


涙を流した私を見て
先輩は少し驚いた様な表情に変わった。
そして

「ごめん、怒って。」

そう言って自分では止める事の出来ない
涙をぬぐってくれた。


先輩は何も悪くないのに、
どうして謝るの?
どうしてここにいるの?
私に失望しましたか?

聞きたいことはたくさんあるのに
嗚咽で言葉が出ない。
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