Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
日曜日の午後からの仕事はあっという間に過ぎた。
土日は平日にはあまり来れない会社員や学生に加え、親子連れも多く来館する。平日も忙しいには忙しいのだけれど、休日には平日とは違う賑わった忙しさがあるのだ。
「お疲れ様でした。」
無事に閉館を終え、片付けまできっちりと終えた千紗子は、事務所に残っている同僚に挨拶をしてから、更衣室に向かった。
バックヤードの薄暗い廊下を千紗子のローファーの音が鳴る。片手に持ったデスク用の小さなポーチの中から携帯電話を取り出した。
珍しく新着を知らせるランプに気が付く。
手に取って画面を開いた瞬間、そこにある名前に「えっ!」と声が出た。
更衣室で制服から着替えた千紗子は、小走りで職員出入り口へと向かう。古くて重い扉を開くと、向かいの道を挟んだ向こう側に、一台の車が停まっていた。
「お待たせしましたっ!」
「お疲れ様。乗って。」
「は、はい……」
助手席の扉を開けて迎え入れて貰うままに、千紗子は車に乗り込んだ。