Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
「心配していただいて、本当に有り難いと思っています。でも、いつまでも雨宮さんに甘えてるわけにはいかないんです。私も今までみたいにちゃんと自分でやって行かなきゃと、思っていますので…」
「俺が千紗子を甘やかしたくても?」
「っ!!…たくても、です。」
雨宮のとんでもなく甘い発言に言葉を失いかけたけれど、どうにか自分の主張を口にする。
そんな千紗子を横目で見た雨宮は雨宮は「う~ん…」と納得できなさそうな声を上げながら、ハンドルと切った。
「考えておく。」
「考えて、って…!」
そういう問題ではないのだ、と続けようとしたところで、車がマンションに着く。
「とりあえずもう着いたから、この話はここまでだ。部屋に帰って食事にしよう。」
「え!?もしかして雨宮さんも夕飯まだなんですか?」
「ん?そうだけど?」
驚いた千紗子を見る彼の目が、『当然だろ?』と言っている。
「なんで…?分かるように用意してありましたよね、夕飯。」
「もちろん分かりやすかった。ありがとう。だけど千紗子と一緒に食べた方が美味しいから。さ、早く帰って食べよう。千沙子も腹が空いただろ?」
スムーズに車を駐車すると、素早く運転席から降りた雨宮が助手席に回って来て扉を開けてくれる。
流れるようなエスコートにつられて車から降りた千紗子の背に、そっと手を当てた雨宮がにっこりと笑う。
「こんなふうにずっと千紗子と一緒に毎日を過ごせたら、最高に幸せだな。」
彼のその言葉に、千紗子の胸がズキリと痛んだ。