Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~


 コーヒーショップはそんなに混んでおらず、一番奥の窓際の席に向かい合って座った。

 裕也はホットコーヒーを、千紗子はチャイミルクティを選び、二人の手元にはそれぞれのカップが置かれている。

 千紗子は手元のカップに口を付けた。
 シナモンやその他のスパイスの香りが鼻に抜けていく。生姜が入っているせいか体がじんわりと温かくなって、まろやかな甘さがが波立った千紗子の心を幾分落ち着けてくれた。

 一方で目の前の裕也はカップを手で弄ぶようにしながらも、それには口を付けずにずっと俯いている。

 千紗子は彼が何を口にするのをじっと辛抱強く待ち続けた。


 千紗子のカップの中身が半分になった頃、裕也がおもむろに口を開いた。

 「千紗…俺が悪かった。」

 テーブルに両手を着いて頭を下げる彼に、千紗子は息を飲んだ。
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