Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
向かいのコンビニで男性用の肌着類と、飲み物や軽く食べれそうなものを買った千紗子は、小走りで自分の部屋を目指した。
ものの五分くらいしかかかっていないと思うけれど、雨宮が悠長にバスタイムを楽しんでいるとは到底思えない。
彼がバスルームから出てくる前に戻りたかった。
ガチャリと玄関扉を開けて中に入って顔を上げた瞬間、上半身裸の雨宮がいた。
「~~~~っ!!」
千紗子は叫びだしたい声を飲みこんで、音もなく絶叫した。
目の前の彼は腰から下にバスタオルを巻いているだけで他は裸のままだ。バスタオルの下に履いているのかどうかも怪しい。
「シャワーありがとう。おかげで温まったよ。」
眼鏡のない素顔の雨宮は、小さく微笑む。
彼は頭から被ったタオルで頭を拭きながら、ふと千紗子の手に持っているコンビニの袋を見た。
「千紗子、まさかと思うけど外に出ていたのか?」
言いながら一歩二歩と近付いてくる。
靴を脱ぐことも忘れて固まったままの千紗子の前まで来ると、彼はそっと彼女の頬に手を当てた。
「やっぱり。冷えてる。千紗子も早く風呂に入るんだ。」
雨宮の手の平がとても温かくて、千紗子は彼が言う通り自分が冷えていることに気が付いた。