Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
シャワーを済ませて部屋用の服に着替えた千紗子がバスルームから出ると、ベッドに腰掛けている雨宮と目が合った。
彼は千紗子が買ってきた白いTシャツを着て、腰から下はバスタオルを巻いた姿だ。
きっとバスタタオルの下には一緒に入っていた下着を身に着けているのだろうと思うと、千紗子の頬にほのかな朱が差した。
(服がハンガーに掛けてあるけど、なかなか乾かないわよね……)
雨宮が自分で掛けたのであろう濡れた服は、ジャケットの隣でエアコンの風に吹かれているけれど、到底乾きそうにはない。
このマンスリーマンションには洗濯乾燥機まではついていないことを、千紗子は残念に思った。
「ハンガー、勝手に使わせて貰ったけど、良かったか?」
千紗子の視線に気付いた雨宮が問いかける。その声で千紗子は再び彼の方へ視線を遣った。
「えっと、…はい。」
エアコンの温度と風量を上げているとはいえ、十二月半ばに半袖シャツ一枚の雨宮の姿は寒々しく映る。
あんなに雨に当たった後に、そんな恰好でいたらやっぱり風邪を引いてしまうかも。
そう思った千紗子は、ベッドの枕元に畳んで置いておいた毛布を取って広げた。