Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

 「千紗子、好きだ。」

 雨宮の甘い声と瞳が千紗子の上から降ってくる。

 さっきまで千紗子の口を貪っていた唇が、今度は柔らかくリップ音を立てて顔中に降ってきた。
 雨宮の唇は、涙の筋をたどるように千紗子の頬を下から上へとなぞる。目じりに溜まった涙の粒を吸い上げてからペロリと舐められた時、千紗子の脳裏にあの夜のことが甦った。

 (あの時も、同じように優しかったわ。私、この唇にどんなに癒されたんだろう……。)

 千紗子がそう思った時、雨宮が微笑んだ。にじみ出る色香に、千紗子の目が釘付けになる。

 「前にもこんなこと、あったな…。」

 呟くその言葉に、千沙子は思わず微笑んだ。

 「私も、同じこと考えてました。」

 「そうか……俺の気持ちはあの時と変わっていない。いや、あの時よりもっと千紗子のことが好きだよ。」

 「雨宮さん…。」

 「かずあき。名前を呼んで、千紗子。」

 「……一彰さん」

 千紗子が名前を呼んだ瞬間、彼はこれまでにないほど嬉しそうに破顔した。

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