Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

 「千紗子…俺のちぃ。可愛い……可愛すぎて困る…」

 そのまま何度も啄ばむように口づけられる。

 先ほどの食べられそうな口づけの時は何も考えられなかったけれど、今度は戯れるようなキスと甘い言葉が交互に降ってきて、千紗子は嬉しい反面恥ずかしくなってきた。

 「かっ、一彰さんっ!」

 「んん?」

 一彰は短い返事をしただけで、千紗子の顔や頭に何度も短いキスを繰り返している。
 千紗子の首の下に差し込まれた手は、髪の感触を楽しむように撫でる。反対の手はしっかりと腰に回されていた。

 (わ、私…また流されてるっ!!)

 千紗子の部屋に帰るまでは、彼に伝えたいことや言いたいことが沢山あったはずだった。
 そのことを急に思い出した千紗子は、急に狼狽えだした。

 「か、一彰さん、私、色々と、」

 「ん?」
 
 『話したいことがある』と続けようとした言葉を一彰の唇がさらっていく。
 「待って」と言おうと口を開くと、侵入してきた熱い舌が千紗子の思考を根こそぎ奪いとろうとする。

 千紗子の口をやっと解放した一彰は、そのままその唇で彼女の耳元を啄ばんだ。

 「やっ、んんん~~っ!」

 千紗子の背中にゾクゾクとした感覚が這い上がって腰から力が抜ける。
 千紗子の反応に煽られた一彰は、耳の下から首筋にかけて、しっとりと唇を這わせた。

 「はぁっ、んやっ…」

 耳に入ってくる声が自分のものとは思えないくらい甘く艶めかしい。
 体中が発火したみたいにカーッと熱くなった。
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