Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
「ぁんんっ、ま、待って…やっ、ちょっと、」
「ん。」
千紗子の訴えに短い相槌を返しただけの一彰は、「何も問題はない」とばかりに千紗子の服の裾から手を差し込んでくる。
大きな手の平が千紗子の素肌をたどる感触に、千紗子の体がピクリと跳ねる。
「や、待って、一彰さんっ」
千紗子の声が聞こえないはずはないのに、一彰は今度は返事もしない。その手は千紗子の胸元まで伸びようとしていた。
(だ、だめっ!このまま流されちゃっ!!)
千紗子とて思いが通じ合ったのが嬉しくて、このまま一彰の熱に流されてしまいたい気持ちは十分にあった。
けれど、これまで中途半端に言いたいことも言えずにただ相手に従うだけだった自分を変えたい、と千紗子は思っていたのだ。
ありったけの力を込めて、自分にのしかかる一彰の体を押しながら千紗子は叫んだ。
「待ってって言ってるでしょっ、一彰っ!!」