Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

 千紗子は一彰の体に腕を回して、そのままきゅっと抱きしめた。
 自分の上にある彼の体は大きくて、腕を回しても包み込むことは出来ないけれど、それでも千紗子は少しでも自分の気持ちが伝わればいいと思った。
 
 あのとき、きっと傷付いていた彼の、その心を少しでも癒したくて。

 ぎゅうぎゅうと腕に力を込めると、千紗子の思いに気付いたのか、一彰も抱きしめ返してくる。

 しばらくの間、二人はそうやって抱きしめあっていた。

 

 「ありがとう。千紗子。」

 一彰の声に、千紗子は顔を上げた。

 その声と同じように柔らかな瞳をした彼は、何の陰りもない顔で微笑んだ。

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