Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

 「じゃあ、千紗子は、今日から俺のもの、ってことでいいか?」

 微笑む彼の目が甘く光る。

 「俺の…って…」

 なんだか官能的な響きに千紗子は顔を赤くする。

 「ちがうのか?俺は千紗子が好きで、千紗子も俺のことが好きなのに、俺のものにはなってくれないのか?」

 おねだりするみたいに首を傾げる彼の様子は可愛らしいけれど、その瞳は妖しく濡れている。

 「えっと………」

 顔がカーッと熱くなっていく。
 本当は『自分は一彰のものだ』と言いたいのに、なんだか恥ずかしくてそれを口にすることが出来ない。

 顔を真っ赤にしながら口をもごもごとしている千紗子に、一彰はクスリと小さく笑った。

 一彰は楽しげに微笑んでいるが、その瞳は甘い熱を隠してはいない。
 千紗子の返答次第では、すぐにでも喰いついてこようとしている。

 (ちゃんと、全部、言葉にしないと。)

 千紗子は、自分の中に抱えていたものを、一つ残らず言葉にして一彰に伝えることを自分に言い聞かせた。

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