Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
「妬いてくれたんだろ?」
「え?」
千紗子の思考が一瞬止まる。一彰の言っている意味がよく分からない。
けれど、一彰の次の言葉で、千紗子はそれを一気に理解することになる。
「ずっと俺ばかりが君のことを好きなんだと思ってた。千紗子の心の傷が癒えるならそれでも構わない、と思ってた。でも、思いがけず千紗子が好きだと言ってくれて、その上ヤキモチまで…。俺が他の女性と二人でいるところを見ただけで嫉妬するほど、千紗子は俺のことが好きなんだな、って思ったらすごく嬉しくなったんだ。」
「嫉妬……。」
呟くと同時に、意味を理解する。
まるで足元に火をつけられたみたいに、つま先から頭のてっぺんまでが燃えるように熱くなっていく。
千紗子の顔は火が出そうなほど熱く、頭からは湯気が出そうだった。
「ちぃ、可愛い。こっち向いて?」
「やっ、」
自分抱いた気持ちがやきもちだと今初めて知った千紗子は、羞恥のあまり顔を伏せるけれど、頬を両手で包んだ一彰によって持ち上げられてしまう。
(私きっと真っ赤だわ!)
手で顔を覆ってしまいたいのに、その両手は一彰の腕の下にあるから動かせない
千紗子は恥ずかしさのあまり、瞳が潤んできた。
「千紗子。」
彷徨わせていた視線をなんとか一彰に向ける。
とろりとした笑顔を浮かべた一彰の唇が千紗子の唇に降りてきた。