Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
【番外編1】 ☆ Holy night Healing ☆



 十二月二十四日―――キリスト教で言うところのクリスマスイブ。ここ日本では、天皇誕生日の振替休日だ。どちらにしても図書館は変わらず開館中で、千紗子はこの日も変わらず仕事に勤しんでいた。


 「今日は随分と冷えるわね。」

 「はい。すごく寒いですよね。十二月入ってからの一番の冷え込みらしいですよ。」

 「夜には雪になるかも、って天気予報で言ってたもんね。」

 図書館の窓から見えるどんよりとした冬空を美香と二人で見上げながら、千紗子は自分の気持ちが浮足立っているのを感じていた。


 一昨日の土曜日。三連休の初日になるその日は、以前から準備をしていた『地元絵本作家のトークイベント』が行われ、午前と午後に分けて行われたそのイベントは大盛況だった。

 午前には絵本作家本人による子ども向けの読み聞かせがあり、先着制だった為、当日は三十分前には人が集まりだし、急遽整理券を配布することになった。開場後は、会場に入りきれないほどの親子や子ども達が訪れた。

 午後からは事前申し込み制で、小学五年生以上の人を対象とした講演会が行われ、その絵本作家が、絵本を作る時のエピソードや本人の体験談、時には失敗話などを面白おかしく語り、ひと時も飽きることのない二時間となったのだった。

 午前と午後の両方とも、来場された方に記念として、その作家の絵本の絵を使って作った栞(もちろん作家本人と版元には使用許可済み)を配布したところ、とても喜ばれた。千紗子が作家本人にも恐縮しながら渡したところ、とてもとても喜んでお礼を何度も言われて、千紗子は感動したのだった。

< 263 / 318 >

この作品をシェア

pagetop