Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
3. 裏切りと告白
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(あったかい…)
後ろから包みむように抱かれている。
逞しい腕がお腹の前で組まれていて、ピッタリとくっついている背中が温かい。
千紗子の瞳はやけに重くて、瞼を持ち上げることが出来ずに睫毛だけが小さく震えた。
(なんだか体がだるいわ…昨日は思ったより飲んでしまったのかしら…。
なにかとても嫌な夢を見ていたような気がするわ……。)
夢現の狭間で、千紗子はそんなことを考えていた。
でも、それは夢だ。
その証拠に、今こうして温かい腕に包まれている。
ふかふかのベッドに、確かな温もり。
それだけで嫌な夢を忘れられるくらいに幸せな朝だ。
(ああ、起きたくないな…でも今日も裕也は仕事だわ。朝の支度があるから起きなきゃ…)
「いま、なんじかな…」
呟きながら枕元にいつも置いておくスマホを手探りで探した。
「ん、…まだ早い。今日は休みだろ。」
眠たげなバリトンが耳元の空気を震わせた。
予想していた声とは全く違う声に、千紗子の思考は一瞬で停止する。
さっきまで持ち上がらなかった重たい瞼を勢いよく開いた千紗子は、恐る恐る後ろを振り向くと、そこには、ただの上司であるはずの、雨宮がいた。
「あ、雨宮さん……」
驚きのあまり勢いよく身を起こす。
混乱した頭には、目から入ってくる情報に理解が追い付いてこない。