Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
「本当にすまない…千紗子が可愛くて、プレゼントが嬉しすぎて、つい調子に乗ってしまったんだ…次からは我慢するから、機嫌を直して、千紗子。」
心底すまなそうな声に、千紗子は逸らしていた瞳を一彰に向ける。
そこには眉を下げて、うなだれた彼の姿があった。
「本当に?本当に反省してる?」
「本当だ。これからはちゃんと場所をわきまえる。千紗子の誘惑に勝つ、鋼の精神を持てるように努力する。」
(私の誘惑って……そんなことした覚えはないのだけど……)
なんだか腑に落ちない千紗子だったが、目の前の彼が、耳を下げてうなだれる大型犬のように見えてきて、もう怒っているふりをするのもばかばかしくなってきた。
「じゃあ、鋭意努力してね?一彰さん。………ふふふっ」
なんだか可笑しくなって、笑ってしまうと、一彰は目を丸くしたけれど、すぐに安心したようにホッと息をついて肩を下げた。
「ありがとう、千紗子。じゃあ今度は俺からのクリスマスプレゼント、受け取ってくれるか?」
「えっ!」
驚いた千紗子に、一彰は綺麗にラッピングされた細長い箱を差し出した。
千紗子の視線が箱と一彰とを往復する。
「だって、クリスマスプレゼントはこのワンピースだって……」
「“クリスマス”プレゼントだとは言ってないだろ?それは初デートのプレゼントで、俺が千紗子に着せたかっただけ。」
「なっ!!」
短い言葉を口から出した後、その口を閉めることも出来ずに千紗子は目を丸くしていた。
(「クリスマスに着て欲しい」って言って買ってくれたから、すっかりクリスマスプレゼントだとばかり……)
「それで?俺からの“クリスマスプレゼント”は受け取ってくれないのか?」
「………ありがとう。」
一瞬の沈黙の後、千紗子はその箱を一彰の手から受け取った。