Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
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「…きさん、一彰さん?」
「え?あ、ちぃ…どうした?」
「一彰さんこそどうしたの?ぼうっとしてたわよ?」
ソファーの隣に座っている千紗子が、一彰の顔を覗き込んでいる。彼女の膝の上には、開かれたままの雑誌が置いてある。
三月中頃の昼下がり。春と呼ぶにはまだまだ寒く、日中でも暖房が必要だけれど、窓から差しこむ陽射しはずいぶんと柔らかくなってきた。桜の開花まではもう一息、だろう。
一彰は読んでいた文庫本が、いつのまにか膝に落ちていたことに気付く。
「ごめん、ちょっと寝てた、かな…?」
「ここ最近ずっと帰りが遅かったから、きっと疲れてるのよ…コーヒーでも淹れようか?それとも、このまま眠ってしまう?」
心配そうに伺う千紗子に、一彰は目を細める。
「いや、大丈夫。…でもそうだな、ちょっとだけ充電しようか。」
そう口にした一彰は、千紗子の腕をグイッと引き、その体を自分の上に引き寄せた。