Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
目を丸くして動きを止めた一彰を、千紗子は頬を染めながら少し恨めしそうに見上げ、もごもごと言いにくそうに口を動かす。
「わ、私だって、一彰のことにはわがままになるもの。他の女の人の目に、あなたが見えなくなる魔法が有ればいいのに……」
口を尖らせて言う千紗子に、一彰は思わずフッと笑ってしまう。
「一緒の職場の今だって、沢山の女性にモテてるんだもの…新しいところに入ったら、きっともっとモテるわ。」
言いながらどんどん彼女の瞳が潤んでくるのを、一彰を見つめていた。
「千紗子…」
「わたしきっと、いつも見えない誰かに嫉妬してしまう……そしたらわがままを我慢できなくなって、きっとあなたを困らせてしまう……」
抱きしめる小さな方がブルリと震えるのが分かった。
大きな瞳が涙の膜に覆われて、ガラス球のようにきらきらと光って見える。
一彰は反射的に千紗子の体を思いっきり抱きしめた。
「自分の気持ちを我慢しないで、千紗子。というより、千紗子のわがままはわがままにはならないから、思ってることをどんどん言って。きっと俺にとっては嬉しいことばかりだ。」
「うそ…」
「嘘じゃない。千紗子が俺のことを好きなら、どんな気持でも俺には嬉しい。俺のことをもっと独占して、千紗子。」
「独占……」
口の中で呟く千紗子に、一彰は言葉を続ける。