命の記憶
「お母さん! 手に豆が出来ちゃったの」


 そう言って私はお母さんに手を見せる。


 こうちゃんはお母さんがきたせいか、少しだけ落ち着いた。


「あらあら、お家に帰って絆創膏貼ろっか」


 お家に帰る……こうちゃんとバイバイしなきゃいけなくなっちゃう。


 手の豆は手当てしたいけど、こうちゃんともっと遊びたい──


「うん……」


 私は悲しい気持ちを隠しきれずにいた。


「ことね、またここに来る?」


 こうちゃんの口から出た意外な言葉。


 え、それって──


「また、一緒に遊んでくれるの?」


 少し小さめの声で聞く。


「もちろん! だから今は手の豆治して、今度学校で逆上がりできたか教えて」
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