命の記憶
 ついさっきまで喜んでいたのにすぐ悲しい気持ちになった。


「俺の友達のことね。
ことねも入れてみんなで遊ぼ!」


 こうちゃんがそう言うとみんなは快く私を仲間に入れてくれる。


 みゆちゃん、ゆうきくん、あきとくん、ともかちゃん、ひろゆきくん、それぞれ自己紹介をしてくれた。


 そしてその日はみんなで鬼ごっこや鉄棒など、公園で沢山遊び、結局こうちゃんと2人きりになることはなかった。


 ──逆上がりできたこと、報告したかったな。


 それから次の週もその次の週もみんなで遊んだ。


 最初は他のみんなと遊ぶことに抵抗や緊張を感じていた私も、少しずつ慣れて楽しくなってきた。


 公園で遊ぶだけでなく、時には誰かの家で遊んだり、出かけたりもした。


 そんな充実した生活が、小学校を卒業するまで続いた。


 こうちゃんたちはみんな同じ中学校に進学し、私だけが別の学校になった。


 中学に上がってからはみんな忙しくなり、みんなとも、こうちゃんとも会えなくなってしまった。
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