命の記憶
「今ちょうど部活から帰ってきたところだったんだけど、家に誰もいないのに家の鍵忘れちゃって……
時間潰すためにウロウロしてたらことねっぽい人がいるなって」

 なるほど。

 私はこうちゃんの状況を理解することが出来た。

 そして何よりも私のことを覚えていてくれて、私だと思って声をかけてくれたことが嬉しかった。

「じゃあさ、うちくる?」

 少し大胆なことを言ってしまったかな。

 こうちゃんが少し驚いている気がする。

 でもこれ以外にこうちゃんともう少し一緒にいれる方法がない気がしたから……

 なんて意味もなく自分自身に言い訳をした。

「いいの?」

「今お母さんいなくて、でも連絡入れておくから大丈夫だよ」

 そう言うとこうちゃんが笑顔になり、喜んでくれた。

 お母さんには「友達が鍵忘れちゃったみたいで少しの間だけ家にあげるね」と連絡をした。
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