命の記憶
 ふと桃子の方を見ると、彼女にはそんな疑問が全くないらしく、夢中でシャーベットを食べ進めていった。


「次はどこ行こっかー」


 早々にシャーベットを食べ終えた桃子がパンフレットを開いた。


「琴音は何か食べたいものとか行きたいところとかある?」


「えっ、わたひ?」


 シャーベットを口に含んだ瞬間に話しかけられ、上手く喋れなかった。


 行く場所はほとんど桃子に任せるつもりでいたので少し迷う。


「うーん、タピオカとか? 売り切れる前に買って、それから遊びたいかも」


「ふむふむ」


 そう言って桃子はパンフレットに目を落とした。


 私もシャーベットを食べる手を進める。


「お化け屋敷いきたいなー。あ、体育館で吹部の演奏を見るのもいいなー」


 桃子がパンフレットを見て楽しんでいる。
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