毎日恋した。
後ろからぱたぱたと聞こえる足音。

きっとこれは英二。


「流衣、さんきゅー。マジ助かったわ!」


そう言ってあたしに宿題のノートを渡された。


「まったく。次は絶対貸さないからね!」


「ちゃんと真面目にやってきます〜」


あはは、と廊下にあたしたちの笑い声が響く。


「英二!」


「あ、幸紀」


英二の名前を呼んだのはあたしの友達の幸紀だった。


「わりぃ、もう行くわ」


「え?あ、うん?」


英二はあたしに手を振って幸紀の傍に行った。

最近あの二人仲良いな。


「あ、英二と幸紀だ」


「あの二人って付き合ってるんだよね」




え・・・

嘘。

そんなの初耳なんだけど。



いつから?

どっちから告白?

そんな言葉か頭を過る。

幸紀も英二と付き合ってるなんて言わなかったし、英二も幸紀と付き合ってるなんて言わなかった。

なんで?


付き合ったなら付き合ったって言えばいいのに。

胸がズキズキ痛む。



幼なじみの事なら全部知ってるって思ってた。

だけど、幼なじみでも知らないことはたくさんあるんだなって現実を見せられた。


こんな現実、見たくなかった。

涙が出そうになり、必死で抑えようとしてた。




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