俺たちは夜に舞う蝶らしい
蘭音side
電話に出ると相手は澪だった。
ディスプレイの表示が夕さんだったからてっきり夕さんなつもりで出たらまさかの可愛い声が聞こえて不覚にも驚いた。
「[蘭ちゃんっ!お祝いありがとうっ!]」
『ふふっ。誕生日おめでとう、澪』
大方、俺からの伝言を聞いて夕さんにねだって電話をかけてきたってところかな。
「[蘭ちゃん、今日来ないの?]」
『んー、無理かな』
仕事中だし。
寂しそうな澪の声に申し訳なく思うんだけど‥‥。
「[さいきん、皆むちゃしてる。]」
『へ?』
「[父さんも母さんも、蘭ちゃんも、翼のお父さんも。みんな。]」
凜音や要や秋雨の名前が出てこないと思ったけどそう言えば3人と澪は面識なかったよな…‥‥と冷静に考える。
『無茶してるって、どんな風に?』
「[わかんないよ。けど、むちゃしてるの。
まるで、何か僕たちに隠し事してるみたい。]」
さすが、夕さんと零さんの子ども。
鋭い。