俺たちは夜に舞う蝶らしい
凛音side
「ただいまー」
『お帰り』
「あれ?凜音も今帰ってきたところ?」
俺の服装を見て驚いたように言う蘭音。
蘭音はいつもこの時間に帰ってくる。
日付が変わったタイミング。
1時頃にしか帰ってこない蘭音が何をしてるか俺は知らない。
父さんは組で寝泊まりしてて母さんは俺らが中学に入る前に亡くなってる。
だから、この家に住んでるのは俺と蘭音だけ。
『仕事だった。』
俺の言葉に一瞬眉を顰める蘭音。
蘭音は俺の仕事を知っている。
母さんが殺された場面を目の前で見てる蘭音は俺がこの仕事をするのに大反対らしい。
「死なないでよ。」
『当たり前でしょ。俺が死ぬわけ無いじゃん。』
「母さんもそう言ってたよ。」
『‥‥‥‥‥‥。』
沈黙が訪れる。
制服のネクタイを外しながら淡々と会話する蘭音はどこか違う人のような気がした。
『お前、毎日こんな時間までなにしてんの?』
「なにって?」
『惚けないで。
こんな時間まで夜遊びって感じでもないでしょ。』