俺たちは夜に舞う蝶らしい
カーディガンとネクタイをハンガーにかけて沈黙する蘭音。
『何か言いなよ。』
「あんま、酷くしないであげてね。」
『は?』
俺の質問に関する答えではない。
「澪も翼も、優しい子だから。
引き込むっていっても、酷くしないであげて。」
『お前‥‥なんで仕事内容知ってる、?』
そもそも、なんでターゲット‥‥ボスたちの子どもの名前まで知ってる?
「昭美さんがペラペラ話してくれたよ。
澪たちとは母さんが殺されたとき、保護された壱条組で仲良くなったんだ。」
昭美さん‥‥ってボスかよ!
え?
じゃあ、いつの間にかボスと知り合ってんの?
この子、恐ろしいんだけど。
「俺はBARのオーナー。
昭美さんや夕さんは常連さん」
衝撃の事実だわ。
なにそれ。
いろいろ突っ込みたいけど、蘭音が危ないことしてる訳じゃなさそうで安心した。
『あんま危ないことしないでよね。』
「凜音にだけは言われたくない」
その返しは危ないことをしない保証はないってことで。
それでも、俺を心配してる言葉で、
なんて言ったらいいのか分からなくなる。