俺たちは夜に舞う蝶らしい
蘭音side
朝。
‥‥‥‥といっても、早いわけでも遅いわけでもない午前10時30分。
眠くないといえば嘘になるけど、可愛い子に会いにいくと思えば苦じゃない。
母さんが殺されたとき、壱条組に保護された俺。
すっぱりと裏で生きる決意をした凜音と違い、裏で生きることを選べなかった俺はつい最近までは壱条組にいた。
もちろん、今の家と行ったり来たりしてたんだけど。
初めは俺に何故か懐いて引っ付いてくる澪が鬱陶しかった。
ウザイだけの餓鬼。
それが俺の印象。
その印象が変わったのは壱条組で大きな抗争があったとき。
組員ではなく組員の家族が襲われるという事件の犯人を締めに行った皆。
澪の弟である汐は高熱を出してた為、壱条組専属の医者のところに預けられ、澪と零さんが組で夕さんの帰りを待っていた。
ここまで来ると要と澪が面識が無いのは何故か。と疑問に思う人もいるだろう。
その理由は簡単。
要が一人暮らしをしてたから。
なんでも、家に居たら金銭感覚がおかしくなるのだとか。
まあ、それはわからなくもない。
洋さんたちはともかく、使用人と呼ばれる立場の皆は一桁違う金銭感覚をしている。
「ん‥‥、今から出かけんの?」
『うん、ご飯作っといたからあっためて食べてね。』
「ん。いってらっしゃい。」
『いってきます。』