俺たちは夜に舞う蝶らしい
澪は人の生き死にに敏感で、周りを見ていていつの間にか俺も惹かれてた。
それから、澪に懐かれるのが嬉しくて時間があれば構ってたら、なんか人一倍懐かれてしまったというわけだ。
神月家のインターホンを鳴らすと、インターホンでの対応をすっ飛ばして開けられたドア。
それと同時に飛びついてきた黒い物体。
‥‥‥‥やばい。
可愛い。
「蘭ちゃん!いらっしゃい!」
『全く、俺じゃなかったらどうするの。』
「インターホンでかくにんしたもんっ」
俺に抱きついたままクリっとした目で、しかも上目遣いで俺を見てくる黒い物体‥‥もとい澪。
あー。
マジで可愛い。
初めてあったときは理解できなかったけど、今なら夕さんが溺愛するのがよく分かる。
『ほい、プレゼント。』
「やった!なに!?」
『チーズケーキ。』
「蘭ちゃんの手作り!?」
『もちろん。』
去年の澪の誕生日にケーキをせがまれて作ったら、気に入られて来年のプレゼントはチーズケーキね!と約束させられていた。
プレゼントにチーズケーキでいいとは、なんとまあお手軽な子どもなんでしょう。
「わーいっ!かーさん!
蘭ちゃんがチーズケーキくれたー!」
器用にチーズケーキの箱を持って零さんのところに猛ダッシュしていく澪。
俺は放置か。