俺たちは夜に舞う蝶らしい
「蘭ちゃん、お料理じょうずー」
「ほんと、美味しいわねー
今度作り方教えて頂戴?」
『普通なんですけど‥‥
俺でよければいつでも。』
「そうだ。蘭音。
後で仕事の話いいか?」
『大丈夫です。』
まったりとした空気の中に、ピリッと張り詰めた空気が漂う。
しかし、澪はそれに気がつかない。
つか、それに気がつかれちゃ困るんだけど。
「ふわぁ‥‥っ」
チーズケーキを食べてしばらくたった頃、澪が大きなあくびをして、ゆらゆらとふねを漕ぎ出した。
『澪。眠いなら寝てきな?』
「寝たら蘭ちゃん帰っちゃう‥‥」
『帰ったとしてもまた会いに来るよ。
だから、寝れるときに寝ときなさい。』
「‥‥‥‥はぁい。」
渋々、自分の部屋に戻っていく澪。
その足取りはおぼつかなくて、みかねた零さんが澪を抱っこして部屋に連れていった。
「お前は澪を扱うのが上手いな。」
『ふふっ。
可愛いものはとことん甘やかす主義なので。』
「どうせ俺は厳しいよ。」
『そんなこと言ってないじゃないですか。』
クスクスと笑いながらカバンからノートパソコンを取り出す。
凜音には持っていることがバレてはいけないものだったんだけど、情報屋だとバレたから別にいいよね。
隠すのいい加減めんどくさいし、帰ったらちゃんと説明しよう。