俺たちは夜に舞う蝶らしい
俺のげんなりした声にクスクスと笑って、はい。とひとつ返事をした蘭音。
「さて。
そろそろ行きます。
BARを開ける前に適度に終わらせたいので。」
『悪いな。』
「いえいえ。」
ぽんっと優しく澪を撫でて玄関へと歩いていく蘭音。
俺も蘭音の見送りのためにその後をついていく。
玄関で靴を履いた蘭音は思い出したように、俺に背を向けたまま語り出す。
「そうそう。
昨日凜音には言ったんですけど‥‥」
蘭音の言葉に首を傾げる。
つか、このタイミングでの話は間違いなく裏の話。
それを凜音に話したってことは、自分が情報屋をしていることをバラしたのか。
それとも、始末屋の方をバラしたのか。
まあ。
そんなことはどうでもいい。
それは、凜音と蘭音の問題だ。
「昭美さん。
気をつけておいた方がいいですよ。」
『昭美?
何かに巻き込まれるとでも言うのか?』
「凜音みたいに勘違いしないんですねー。」
蘭音の言い方は昭美がなにか企んでるから気をつけろって事だ。
その企みが裏切りだとしたら、蘭音はハッキリいうだろう。
凜音はその蘭音を知らないから勘違いしたんだろうな。